不動産査定の世界にもデジタル化の波が訪れ、担当者の知識や経験則から導き出される手法からaiを駆使した査定に移行する事業者が徐々に増え始めています。今回は不動産の売却を考えている方に向けてその信頼性やメリット・デメリットについて考えていきます。

自動的に算出されるAI査定とは

一般的に査定額は担当する鑑定士がその物件の形態や築年数、現在の相場などから算出しますが、対するAI査定とは蓄積された様々なビッグデータを参照し、近隣エリアの似たような物件の取引実績に加えて、今後の情勢による相場の変動が予測され総合的な判断で査定額が導き出されるという手法です。

例えば周辺に交通機関やショッピングモールなどの生活インフラが整っていれば生活するのに便利で、警察や病院、消防署などがあれば万が一の事態にも安心して暮らせます。また、徒歩で行けるところに幼稚園や小中学校があれば、子育て中の世帯にとっては大きな価値を持ちます。

もしもそれらの施設が現在存在していなくでも将来建設が予定されているなら、近くの物件は将来価格が上昇することが見込まれ高額査定となる場合もあります。

AI査定とは住所や物件の築年数などの基礎的なデータを入力するだけの簡単な操作で算出される優れもので、前述の内容を考慮するプロセスが瞬時に実行されます。そのため結論が出るまでの待ち時間が飛躍的に短縮され、売却するか否かの判断が素早くできるようになりました。

ai査定は信頼できるか?メリット・デメリットに迫る

aiの精度に大きな影響を与えるのが、参照するビッグデータの存在です。aiに様々なパターンを覚えさせるディープラーニングでは、記憶させるデータが多ければ多いほど精度が高まります。

不動産の売却を行うためにaiを駆使する例で信頼できるか?を考えてみると、物件や過去の取引実績のデータが多いほど正しい値を導き出せる可能性が高まる一方、もしもデータが少なければ相場とかけ離れた査定額が出てしまう可能性もあり、精度を上げるためには豊富なデータが必要です。

そのため、aiを使用して信頼性の高い査定額が出せるのは、元々豊富な取引実績がある不動産事業者となります。メリット・デメリットで考えてみると、従来型の方式では見落としや勘違いにより査定額にばらつきが出たり、商売であることから安く購入して高く売却したいという恣意的な要素も入るのは利益を追求する企業である以上致し方ない一方、事情を話せば人情で価格をサービスしてくれるケースも少なくありませんでした。

aiでは人為的なミスを一切排除できるほか、感情が関与しない客観的な数値が算出されるので冷静な判断を促すのに役立ちますが、まだ始まったばかりの過渡期の技術と言えます。

AI査定とは不動産売却の未来である

aiを駆使して不動産の売却時の査定額を算出できるAI査定とは、これまでに無かった新たなジャンルであることから現時点では相応のメリット・デメリットがあります。信頼できるか?と言えばまだまだ課題も多く、ほとんどの事業者ではai一本に任せるのではなく、それと併用して担当者の裁量が加わるのが現状です。

しかし、今後ビッグデータの蓄積によりデータベースが充実しさらに精度が高まる日が来れば、人間の鑑定士に取って代わる日が来るのもそう遠い未来の話ではありません。